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就職や転職、普段の仕事においてみなさんはどのようなことに重点を置きますか?今回は注目されているキャリアアンカーという考え方を解説します。
キャリアアンカーとは?
キャリアアンカーとは、アメリカ合衆国の組織心理学者エドガー・シャインによって提唱された概念の事で、「キャリア=仕事の経歴」+「いかり(船の錨)」と考えます。
周囲の環境が変化をしても自己の内面は変化しない、仕事において重要と考えていることです。
キャリアアンカーの概念からは、人は仕事を選ぶことにおいても、個人の最も大切な内面の価値観や欲求は変化することが無いと言われています。
そして、人が職業生活の中で重視する価値観や能力、興味関心、そして人格的特性のことを指し、自分自身がどのような中でや業界で最も幸せで知るか、成功しやすいのかを知ることができます。
この事で、キャリアの選択や方向性を見出す手がかりとなり、キャリアアンカーの概念は、職業適性や自己理解について考える上でも重要な概念のひとつです。
家族との時間を第一に考える人が単身赴任をきっかけに退職してしまったり、部署の異動によって転職を決断したなど、内面の価値観や欲求は高い優先順位を持ちます。
キャリアアンカーが注目されている背景
日本では長年の間、終身雇用という人事制度が採用されてきました。しかし、長引く不況や派遣雇用などの法改正、市場のグローバル化や業務そのものが多様化する事による、人材の流動性が高くなりました。少子高齢化が進む日本においてライフスタイルも変化していく中、働く人が何に重点を置いて働くのか?を理解することが大切であると考えられています。
今後、人材の流動化がより活発になる事が予想され、働く人の個性を活かした人材マッチングが大切です。企業側と働く人が双方に共感が得られないと、長期的な雇用が困難であったり人材のミスマッチが起こりやすくなってしまうのです。
キャリアアンカーを理解することで
- 自身の働き方を理解することが出来る
- 部下やチームの士気の向上や人材のミスマッチを防ぐことが出来る
- ミスマッチによる退職者や人材の流出防止に繋がる
などが挙げられます。
少子高齢化が加速する中、現役世代の人口も減少し働く人の売り手市場になっていく事でしょう。人材が多様化していく中で、今後この価値観はより認知されていくことでしょう。
キャリアアンカー8つの分類
キャリアアンカーには大きく分けて8つの分類があるとされています。
キャリアアンカー:専門職・職人精神
技術的・機能的な能力の向上に重点を置き、自分の専門性や技術が高まることを望みます。技術的な一つの事を極める事に重点を持ちます。一方で、営業職への転向など自身が望まない変化に関してはモチベーションの低下に繋がることもあるので注意が必要です。
適職例:研究開発、エンジニア、職人など
キャリアアンカー:全般管理・経営管理精神
組織の中で出世や責任ある役割を担うことを望みます。プロジェクトリーダーを任されるなど組織やチームをまとめることに意義を見いだし、組織内でのキャリアアップを望みます。
適職例:マネージャー、経営者など
キャリアアンカー:自立・独立精神
仕事を自身の裁量で図る事や、自律と自分で独立することを強く望みます。マイペースでルールに縛られる事が苦手な人も多く、厳しい上司の下では相性の反発が起こることもあるかも知れません。
適職例:芸術家、フリーランスなど
キャリアアンカー:保証・安定志向
経済的な安全性に重点を置き、安定的に1つの組織に属することを望みます。リスクを避ける傾向にある人も多いため、堅実な環境を準備する必要があります。
適職例:公務員など
キャリアアンカー:奉仕・社会貢献
社会を良くしたり他人に奉仕したりすることを望み、事業や仕事が社会・地域貢献されていることに喜びを感じます。人事や総務部門での活躍も見られます。
適職例:医療、社会福祉関連職、教育職など
キャリアアンカー:起業家的創造性
リスクを恐れず、創造性やクリエイティブに新しいことや、生み出すことを望み重点を置きます。新規事業や、商品開発などの難しいプロジェクトを担当すると、自発的に成果を出そうと努力します。組織から飛び出すこともリスクに考える事も少ないので起業家にも向いています。
適職例:起業家、新規事業開拓者など
キャリアアンカー:チャレンジ精神
無理や解決困難な問題に挑戦することを望み、達成する事で充実感を得ます。起業家的創造性に近い印象がありますが、独立や起業を主に考えるのでは無く、自身がチャレンジ・達成といったプロセスをこなすことに重点や趣きをおいています。
適職例:営業職 発明家など
キャリアアンカー:調和志向
ワークライフバランスに重点を置き、個人的な欲求や家族・仕事とのバランス調整をすることを望みます。仕事は真面目にこなしますが、キャリアの重点は家族との時間や自身の趣味などであるため、望まない異動や出世に対して大きく反発を起こすことがあります。
適職例:事務職など
職場の部下や同僚に当てはめてみるとイメージがつきやすいかも知れません。人の性格は千差万別であり自分自身を知ることはもちろん、組織やチームを形成する上で8つの分類を理解しておけばトラブルも少なくすみそうですね。
キャリアアンカーを理解する
様々なキャリアアンカーが存在する上で大切な事はそれぞれの特性を理解することです。会社は組織であり、上司や部下・同僚などの関係性があります。フリーランスの方は得意先や顧客との取り引きにも少なからず人間性として関わることがあるでしょう。
新入社員がしっくりとこない・・・と退社される前に、選考においてキャリアアンカーを見極めるのも1つの手です。キャリアアンカーに善し悪しがあるわけでは無く、人格や人間性を否定する時代でもありません。それぞれのキャリアアンカーに特色があり自身・自社と共感できるものか?を理解する必要があります。
自分は何のために働いているのか。しっくりとこないから辞めますと言うのも中々厳しいものがありますね。自身の分類と企業風土がミスマッチなところに入社するのしんどいものがあります。特色を理解しておく事は大切かも知れません。
キャリアアンカーを自己診断する・シャインの3つの問い
エドガー・シャインは自身のキャリアアンカーを理解するために、3つの問いによって自身のキャリアアンカーを見いだせるとしています。
何ができるか?自分の得意・不得意なものは何か?(Will)
何がしたいのか?自分のしたいこと・したくないことは何か?(can)
何をするべきなのか?そこに価値があるのか?見いだせるのか?(must)
この3つの問いはそれぞれ自身の「能力」「欲求」「価値」を確認するものであり、自身にとっての優先順位を確認するためのツールです。キャリア形成や働き方を選択していく上で決して譲れないもの、優先順位が高いものを錨(アンカー)と捉え、そのアンカーを元にキャリアを形成していきます。
自身のキャリアが形成・確立されるのは30~40代頃であるとも言われていますが、キャリアアンカーも自身の価値観であり、環境の変化があったとしても大きく揺らぐことはありません。人生経験や社会経験が乏しい間はいくつかの候補が挙げるだけで、経験を重ねることによって1つに絞られていきます。
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私は「何事も独自の考えや新しい発想で判断しようとする。発明家タイプ」のようです。なんとなく自分でも納得しました。
キャリアアンカーの活用方法
キャリアアンカーを理解する上で企業側と働く人は双方にメリットがあります。
- 部署異動や配属先への活用
- 転職や就職での活用
- 営業先での顧客との付き合い
- 人材教育、研修での活用
- プロジェクトやチームの編成での活用
など
若手社員の研修である程度見極める事が出来れば人材教育や離職率の低下にも繋がりそうです。どのような場面でも理解しておく事で活用の幅が広がりそうですね。
キャリアプランニングとキャリアアンカーの関連
キャリアプランニングにおいてキャリアアンカーを考慮することは、個人の自身に合った職業や役割を見つけ、将来のキャリアの方向性を明確化し、自己の強みややりがいを活かせる職業や役割を選択することができます。
これにより、自身の職業満足度やモチベーションを高めながら、より充実したキャリアを築くことが可能となります。キャリアプランニングの過程においては、キャリアアンカーを特定し、それを踏まえた上で目標の設定や行動計画を立てることが重要です。
キャリアアンカーに基づいた転職戦略の考え方
キャリアアンカーに基づいた転職戦略は、自己のキャリアアンカーを明確にし、それに基づいて転職を計画することが得策です。自己の興味・価値観やスキル・能力、パーソナリティを踏まえ、キャリアアンカーに適合する職業や業界を探求します。
また、転職先の組織文化や働き方との適合性も考慮し、自身の強みを活かせるポジションを追求します。自己成長とキャリア満足度を高めつつ、意義のある理想のキャリアの実現を目指すための方向性を目標とします。自己分析や研究、ネットワーキング、応募書類・面接の準備など、様々な手法を駆使しながらキャリアアンカーに基づく転職プロセスを進めることが重要です。
キャリアアンカーを活かすための具体的なアクション
キャリアアンカーを活かすための具体的なアクションを起こしてみましょう!
- 自己分析を行い、自身のキャリアアンカーを明確化する。
- 自身のキャリアアンカーに適合する職業や業界を調査する。
- 必要なスキルや知識を獲得するための学習に取り組む。
- ネットワーキングを活用し、関連する人々とつながる。
- 実践的な経験を積み、キャリアアンカーに関連する経験を得る。
- 履歴書や職務経歴書をキャリアアンカーに合わせてアップデートする。
- 面接や選考プロセスに備え、自身のキャリアアンカーを具体的に説明する準備をする。
これらのアクションを通じて、自身のキャリアアンカーを活かし、理想のキャリアを実現するための方向性を追求しましょう。
キャリアアンカーとキャリアコンサルタント
キャリアコンサルタント(Career Consultant)とは、キャリアに関する相談やアドバイスを専門に提供する職業です。転職や進路を選ぶためのアドバイスや支援を提供することが主な役割となります。
キャリアコンサルタントは、相談者の職業適性や能力、価値観、興味関心、人格的特性などを分析して、自己理解を深め、その上で最適なキャリアパスを提案します。また、求人情報提供や履歴書や面接のアドバイス、面接の練習なども行います。
キャリアコンサルタントには、専門の資格があり、一般社団法人キャリアコンサルタント協会が認定する「キャリアコンサルタント」や、国家資格である「キャリアコンサルタント技能士」などがあります。
主な業務として、個人のキャリアアンカーを見つけるためのアセスメントやカウンセリング、職業選択や転職活動のアドバイス、スキルアップやキャリアプランニングの支援などがあります。キャリアコンサルの資格は、キャリアアドバイザー、キャリアカウンセラー、キャリアコーチ、キャリアプランナーなど、多岐にわたります。
人出不足が予想される労働市場において、今後キャリアコンサルタントの重要性は増していくことでしょう。資格を取得しておくもの1つの手です。
まとめ
本日は聞き慣れないキャリアアンカーを取り上げました。
多様化する働き方はより複雑化し、働く人の価値観がより重要視される時代がやってきます。その際、自身の価値観を理解しておけば会社に無理にしがみつくことも無くなりそうです。採用側も無理な人材を雇う必要もなくなり成果を求める働き方が出来るようになれます。今のうちに自身の価値観を見極めておきましょうね。
それではみなさま良い社畜ライフを!