コーヒー豆がどうして値上げになるの?中小企業感覚で解説します。

中小企業感覚で考えるシリーズ第2弾。今回はコーヒーの値上げについて考えてみたいと思います

※当ページは一部にプロモーションを含みます

コーヒー豆の値上げ

2021年秋、多くの新聞やマスコミに取り上げられていますが、

小麦粉やたばこなど多くの食品や嗜好品の値上げが発表されています。

中でもコーヒー豆においては、大手メーカーでは店頭販売価格を20%近く値上げするなど

家庭に甚大な影響を及ぼさざるを得ません

今回はこのコーヒー豆の値上げについて中小企業感覚で考えてみましょう

社畜モンキ
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私もコーヒー愛好家の1人です!プロ社畜がその原因を考察してみます!!

過去の中小企業感覚で考えるシリーズはコチラ

コーヒーとは

コーヒーとはアカネ科コーヒーノキから採取される植物の種子を焙煎したものであり、現代においては様々な品種が栽培されています

1つのコーヒーの実からは2粒のコーヒー豆を収穫する事が出来、

収穫したコーヒー豆を現地で実を剥き、水で洗い、乾燥させ消費国へ出荷しています。

主な品種として3つ

  • アラビカ種
  • リベリカ種
  • ロブスタ種

上記3種が原種であり、現在の主流の品種になります

現代ではアラビカロブスタがその多くを占めております

社畜モンキ
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品種の名前にピンと来ない方も多いかも知れませんが、最近ではCM等でもこの品種の名前が表記されるようになりました。缶コーヒー等にも書いてありますね。

コーヒー豆生産国は生産量を上から順に

  • ブラジル
  • ベトナム
  • インドネシア

この3カ国がその多くを占めております

社畜モンキ
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ブラジルアラビカ、ベトナムはロブスタ種の生産が盛んであります。アラビカ種の方が高価なのです。最近までコロンビアが3位でした。

コーヒー豆は赤道を中心としたコーヒーベルトと呼ばれるエリアで生産されることが多く、

全世界でコーヒー豆は年間およそ1,000万トン生産されており、

中でも日本は年間約40万トンのコーヒー豆を輸入しております

社畜モンキ
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前出のブラジルは、全世界のおよそ3割の生産量を持っております。日本は世界でも4番目のコーヒー消費国として認知されております。

どうして値段が上がるのか?

どうして急にコーヒーの価格が高騰したのでしょうか?

今回の主な要因として3つ挙げていきます

新型コロナウイルスによる需要の増減

2019年に世界を混乱に陥れた、新型コロナウイルスの要因が挙げられます

一番の消費国であるヨーロッパやアメリカの都市ロックダウンによる総消費の減少が大きく見られ、日本においても大きな影響がありました

外食や外でコーヒーを飲むことが憚られ、自宅消費に回りますがその増え幅は微々たるものでした

大きく需要が減少する中で、在庫がダブついた現状もあります

社畜モンキ
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コーヒー豆は農作物であり、収穫年度を味のピークとして、経過するごとに劣化が起きていきます 。これが・・・中々・・・大変です

供給を回復させるためには生産量の増加ですが、輸送に関する問題もこの高騰に繋がっております。

2020年後半に入ると世界的に需要が回復する中、輸送面の問題が起きます

2019年~2020年前半にかけて、コロナウイルスは元より米中間の貿易摩擦が露呈し、中国におけるコンテナ製造量の低下が影響を及ぼしております。

急激な需要の回復から荷動き量が大幅に増加した結果、ロサンゼルスを初めとした北米等への入港待ちによる海上渋滞と空コンテナの回転率の低下の結果、

需要と供給が適切に保たれていない問題が、価格面に浮き出てくるようになったのです

コンテナ船のイラスト | かわいいフリー素材集 いらすとや

ブラジルの自然環境問題

コーヒーの木はとてもデリケートな植物であり寒さ・暑さに敏感です

直射日光にも弱く葉が焼けてしまうので、多くの生産国ではシェードツリーと呼ばれる、背の高い植物の陰で栽培を行います

2021年夏頃、ブラジルに霜害がおきました

霜が降りると葉が焼けてしまう様な症状が起き、栽培に影響が出来ます

葉が焼けてしまうと美味しい実が成らないので、コーヒー豆が収穫できません

一度霜が降りてしまうと、回復までに3~5年かかると言われております。

前出にもあるように

「ブラジルは世界総生産量の3割を誇る大生産国です」

生産量が回復するまでに、多くの時間を有することとなり、供給量の減少が予想されることから相場の上層がおきています

社畜モンキ
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コーヒー豆は投機的な市場としても認知されています。価格が上がるのでより投機的資金が流入する、結果さらに上がる。このような現状で最も割を食うのは消費者と生産者です

昨今の温暖化はの農作物に直接的な影響をもたらしており、デリケートなコーヒーには大問題です

良質のアラビカ種は平均気温が20度前後の年間降水量が1500~2500mm、昼夜の温度差が大きい標高1500m以上の山地帯で栽培されております

このまま温暖化が進行すると2050年にはアラビカ種の生産地が50パーセントも減少すると言われております

美味しいコ-ヒー自体が飲めなくなる!?と言った問題も今後は発生するかも知れません

社畜モンキ
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良質なアラビカ種はコーヒーショップ(専門店)などで販売されている600円~800円ほどのコーヒー豆と思っていただければと思います。

消費国の増加と経済問題

コーヒーを飲む人口が増えると消費が増え、価格が上昇します

コーヒーを文化的に消費する国で、最もコーヒー消費文化の発展を遂げたのが中国です

13億近くの人口がコーヒーを消費するようになると、農作物であるコーヒー豆は生産が追いつきません。需要と供給のバランスから価格が引き上げられてしまいます。

※2019年のコーヒー市場はおよそ1.3兆円、2026年には2.5兆円になるとの予想もあり

加えて影響があるのは、生産国の消費国化です

前出のブラジル、インドネシアは生産国でもあり、有数の消費国でもあります

特にインドネシアのコーヒー豆は、他の生産地では表現できない個性(テロワール)が世界中にファンを作っており、日本人にもマンデリンという名で認知されています

インドネシアの経済発展が目覚ましく、輸出に回していたコーヒー豆を自国消費する様になります

物価高と自国消費の増加により、相場が上がってしまいます

社畜モンキ
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マンデリンはスマトラ島と呼ばれるエリアでしかこの名前をつけることが出来ません。他にはハワイコナなども地域性の高いコーヒー豆です。ハワイコナが高価なのはアメリカの物価(人件費)が高い事も要因の1つです。

世界情勢の不安と為替問題

2022年、社会情勢の不安を初めとした原料品の高騰が問題とされています。小麦を初めとした原料高問題の中、コーヒー豆もその煽りを受ける形となっています。コーヒー豆は輸入に頼るしかなく、円安は危機的な問題となっています。

社畜モンキ
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コーヒー豆は、ブラジルの霜問題による相場高、コロナによる生育危機、物流問題、社会情勢不安による円安問題の4重や何重苦によるコストの押し上げで体力のない中小企業は存続の危機にあります。

コーヒー1杯の利益を考える

それでは、中小企業感覚で100円コーヒーを考えてみましょう

社畜モンキ
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みなさんもコンビニでよく飲んでいるコーヒーですね。では原価を考えてみましょう。ちなみに税抜き価格だと92円です。

およそ1杯40円ほど、原価率は43%

一般的な飲食店や喫茶店では15%前後で考えるため、この数字は思っていたよりも原価が高く見受けられます。 しかしながら、店舗数と機械式の抽出による高回転で、薄利多売を行っているわけです。

皆さんの周りのコンビニはいかがでしょうか?朝出勤途中の多くの方がコーヒーを買われていると思います。

コーヒー豆原価が20%上昇すると、カップ原価44円になり・・・原価率約48%へ上昇します

つまり利益が5%(115億円)低下します

社畜モンキ
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1杯のコーヒーがこのような大きな市場になっており、豆の価格が上がることは利益の低下に直結します。しかし、最近のコンビニコーヒーはコストを意識したコーヒーの味になっている印象も受けます、悲しいことですが昔の方が美味しかったですね。

100円のカップコーヒーは市場に浸透した価格でもあり、簡単に値上げが出来ません

利益を確保するための企業努力が行われます。

社畜モンキ
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コーヒーの価格は1杯100円、これは大手コンビニが市場への認知とマーケットを創造する為に行ったブランド戦略の1つです。多くのコンビニコーヒーがこの100円に縛られており、単価を上げる事が難しくなっている現状もあります。

コンビニコーヒーもついに値上げ!?

2022年7月より大手コンビニ1社が1杯あたりのコーヒーの価格をついに値上げすると発表しました。円安による国際競争力の低下により、コーヒーを取り巻く情勢はますます厳しいものがあります。コンビニ各社は100円(税抜92円)のコーヒーを提供していますが、利益を確保することが難しくなりました。

消費者である私たちはコーヒーの味に対して違和感を感じたことがあるのではないでしょうか?コーヒーの味はグレード(品質等級)に直結します。低価格で提供しているコーヒーは利幅も小さく、高品質のコーヒーを使用する事は難しいように感じます。ではこのコーヒーのグレードとは一体どのようなものでしょうか?

コーヒーのグレードとは?

世界中で生育されているコーヒーにはグレードがあります。農作物である豆は生育条件などに左右されるとともに、生産各国で厳しい品質管理を行う国もあります。

社畜モンキ
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品質管理で有名な国はジャマイカのブルーマウンテン。同国は国策として高品質なコーヒーづくりを行っており、コーヒー産業公社の厳しい品質管理をクリアしないと出荷できません。グァテマラやコロンビアなども厳しい品質管理が行われております。

スペシャルティコーヒー

スペシャルティコーヒーとは

消費者(コーヒーを飲む人)の手に持つカップの中のコーヒーの液体の風味が素晴らしい美味しさであり、消費者が美味しいと評価して満足するコーヒーであること。

引用元:日本スペシャルティコーヒー協会

社畜モンキ
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私たちが美味しい!と感動して飲むことのできるコーヒーですね。美味しいコーヒーとはどのように定義づけされているのでしょうか?

スペシャルティコーヒーの定義

  • カップクオリティのきれいさ
  • 甘さ
  • 酸味の特徴評価
  • 口に含んだ質感
  • 風味特性、風味のプロフィール
  • 後味の印象
  • バランス

引用元:日本スペシャルティコーヒー協会

スペシャルティコーヒーのグレード

コーヒーはSCAA(アメリカスペシャルティコーヒー協会)が定める基準に沿って点数をつけられます

高品質コーヒーはプレミアムコーヒー以上が高品質とされており、中でもスペシャルティコーヒーは80点以上の希少なコーヒー豆であり、全生産量の3~5%ほどと言われております

ローグレードコーヒーは主にインスタントコーヒーや加工品として使用されています

様々なコーヒーをブレンドしてコストに見合う味づくりも企業努力です

社畜モンキ
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この点数をつける基準として酸の質が問われます。酸っぱいコーヒーと良質な酸を持つコーヒーは全く別物で、あま~いジュースみたいなコーヒーもあるんですよ

まとめ

コーヒーはコンビニ等でも100円で淹れたてをいつでも飲める時代になりました

その私たちの身近なコーヒーが飲めなくなるほど、コーヒーの価格が上がってしまう事に恐ろしさを感じています。その背景には生産量と消費量のバランスがある上に、新型コロナウイルスによって世界中が大混乱に陥った結果、価格が高騰してしまう結果となりました。

しかし、コーヒーはピンキリの商材でもあり、世の中にはスペシャルティコーヒーのみの市場もあり、今回の価格問題で主に挙げられているのは、低品質・低価格のローグレードコーヒーが主になります

低価格でコストを重視しているために利幅が少なく、価格に転嫁しざるを得ません、それは生産者・消費者ともに同じ事ではないでしょうか?

飲むなら、美味しいコーヒーを飲みたいですね

それではみなさま良い社畜ライフを!

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