経営手法の1つであるプロダクト・ポートフォリオ・マネジメント。ご自身のお仕事やブログなどをな当てはめて経営感覚を養ってみましょう。
※当ページは一部にプロモーションを含みます
プロダクトライフサイクル(製品ライフサイクル)
製品やサービスが市場に投入されその需要が収まり衰退に至るまで、売上げと利益にある一定の動きがあります。大まかに5つのフェーズを辿るため、各フェーズの特徴を見極め販促やマーケティングに活用する事が望ましいとされています。
開発期
新製品・サービスを市場に導入する前段階ですが、売上高もなく開発費用・マーケティングコストがかかる状態なので利益はマイナスです。
導入期
新製品・サービスが開発され初めて市場に投入された時期。
導入当初は売上高は低く、新製品紹介のための広告宣伝費や営業活動に関わる費用が嵩むため、利益はマイナスの状態です。
成長期
製品・サービスが消費者に認知され市場に浸透してくる時期。
成長期の初期はまだまだ売上高・利益は低いが、時間の経過とともに需要が急激に増加するとともに売上高も急上昇。この頃は競争や認知活動に多くの営業費・宣伝広告費が必要となるが、利益は売上高の上昇とともにプラスに転じ上昇していきます。需要の増加とともに競合企業が参入し、市場規模も急拡大します。
成熟期
製品・サービスがある程度市場に浸透し、需要が一段落する時期。
売上高が高止まりし、営業費・宣伝広告費も今までほどに必要なくなります。この時期の後期には利益が最大化するとも言われています。この頃には競争に敗れた競合企業は減少し、市場規模は大きい状態で横ばいとなります。
衰退期
商品の新規性や魅力が薄れ、需要が減少していきます。
売上高は減少するとともに固定費などが圧迫、競合企業が減少するとともに市場規模も小さくなり、利益は徐々に減少していきます。
全ての製品・サービスがこのサイクルを辿る訳では無く、成長期を迎える前に撤退するものも珍しくありません。一方でロングセラー製品などは今度の段階にあるかを判断する事も難しい場合もあります。
プロダクトライフサイクルの実例
日清ラ王
1992年に本格志向の生タイプラーメンとして販売された「ラ王」は当時では珍しい生麺タイプのカップ麺として市場に登場し、初年度では300億円の売上高があったと言われています。その後生麺タイプの市場が激化するにつれて市場占有率が落ち込み2010年にノンフライ麺の2代目ラ王として現在も販売されヒット商品として認知されています。
たまごっち
1996年バンダイより発売された「たまごっちは」爆発的な社会現象となりました。当時のバンダイ社員でも入手する事が困難だったとも言われており、第1期のシリーズは世界で4,000万個を販売。しかしブームは長続きせず1998年にはブームが沈静化し、大きな損失を抱えたとも言われています。現在では当初の企画案である腕時計型の製品なども販売され親しまれています。
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(以下PPM)は、ボストン・コンサルティング・グループにより開発された戦略策定支援ツールであり、企業が多角化による複数の事業を展開する時の総合効果を分析し、各事業への資源配分を決定するときに利用されます。
4つのカテゴリー
PPMにおいて既存事業を4つのカテゴリーに分けることが出来ます
花形事業
市場の成長性が高く・市場シェアも高い事業です。
資金流入も多いですが、市場の競争が激しいため資金の流出も多く、キャッシュフローの源にはなり得ません
そのほかの特徴として
- 市場成長率が低くなる成熟期を迎えると金のなる木に移行する為、相対的市場占有率を高く維持するために投資を継続する必要があります
- 問題児や研究開発から花形事業へ移行する場合があります
企業の顔と言える事業です。大手飲料メーカーなどで社名が商品名と等しい会社等もありますが、シェアを維持するために莫大なCM代や販促費用がかかっております。
問題児事業
市場成長率は高いですが、占有率が低い事業です。
資金流出が多く、資金流入が少ない事業です
- 市場成長率が高いため、投資によって占有率を高めることにより、花形事業に移行する可能性があります
- 全ての事業が花形に移行するわけではないので選別が重要です
- 赤字状態の場合もあります
この事業が最も悩ませます。花形へ移行するには大きく資本投入が必要な場合もあります。将来性が期待できないのであれば、それは負け犬事業として捉えましょう
金のなる木
市場成長率が低く、占有率が高い事業です。
資金流入が大きく、資金流出が少ないプラス事業です
- この事業で獲得したキャッシュを花形や問題児へ投資します
- 市場成長が停滞しているため、積極的な追加投資は行いません
- キャッシュの源にもなるので、研究開発へも投資を行います
他の事業や、新規事業の為にがっぽがっぽ稼ぐ事業です、まさに金のなる木。前出のプロダクトライフサイクルにおける「成熟期・後半」から「衰退期」にあたります。
負け犬
市場成長率、占有率ともに低い事業です。
資金流入、資金流出ともに少ない事業です
- 原則的にはすでに投資した経営資源を回収して撤退し、他の事業での有効利用を図ります
- 売り上げ規模は小さいですが資金流出も少ないため、利益率の高い事業になる可能性はあります
この事業は撤退を考えた方が良い事業です。コストを他の事業に分配することも考えた方が良いとも言えます
カテゴリーの視覚化
PPMでは縦軸に市場成長率、横軸に相対的市場占有率を用いた視覚図を用います
- 企業の資金源である「金のなる木」をいくつか保有した上で、将来の資金源となる「花形事業」と将来の花形になる「問題児」がバランス良く配置されているPPMが望ましい
- 「金のなる木」から得られたキャッシュで「問題児」の市場占有率を上げたり、「花形事業」の占有率を維持する
- 「問題児」から「花形」へ、「花形」から「金のなる木」へ移っていく。「金のなる木」から「負け犬」にならないように注意する
この図に、ご自身の会社の事業やブログのカテゴリなどを置き当てはめてみましょう。ブログで人気のあるジャンルを書き続けても結果がでないのは、ライバルも多く問題児であると言えるかも知れません
製品ライフサイクル
PPMにおける市場成長率において、製品ライフサイクルの考え方を用います
製品によってそのライフサイクルに差はありますが、多くの製品は以下の4つの経路を上から順に辿ります
- 導入期 = 市場の成長率はまだまだ低い状態である
- 成長期 = 市場の成長率が高い状態である
- 円熟期 = 市場の成長率が鈍化し横ばいの状態である
- 衰退期 = 市場の成長率が横ばいか低下している状態である
製品ライフサイクルに関しては後ほど、詳しくブログにしたいと思います。発売したばかりの製品は市場に浸透していないのであまり売れず、開発費等々の回収により儲けが少ない、事業は問題児からスタートすると思っていただければ結構です。
まとめ
今回はPPMを用いてみました
いざ投資を始めるとサンクコスト化を怖れ、撤退の判断に鈍ることが多くあります
PPMは企業の製品や事業を売り上げ等の財務観点から考えるものですが、考え方を理解する事で様々な分野に応用が利き、客観的な視点で判断することが出来ます
大切なのはキャッシュフローの源泉である「金のなる木」をいかに保持するか、小さな池の大きな魚になることが大切です
事業シェアを獲得・維持するためにマーケーティングを取り入れていく事も良い例かと思います
ぜひご覧下さい!
それではみなさま良い社畜ライフを!