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戦略的提携・戦略アライアンスとは?
戦略アライアンスとは、2つ以上の企業が協力して、共同で目標を達成しようとする取り決めや提携のことを指します。戦略アライアンスは、企業が自社だけでは達成できない目標を実現するために、相互補完的なリソースや能力を共有することで、相互に利益をもたらすことができます。
企業が同盟(アライアンス)を組むことで、お互いにWinWinな関係づくりを行うのですね!
企業同士が技術提携を結んで新製品の開発を行うことで、両社の技術力を結集して市場での競争力を高めることができます。また、販売提携を結んで、相手企業の販路を借りて自社商品を広めることができます。戦略アライアンスは、相手企業との連携を通じて市場拡大やリスク分散などのメリットを生み出し、企業の成長につながる重要な手段となっています。
例えば・・・
A社にとっては自社のプログラムを人気の車種に搭載することで認知されるメリットが発生し、B社にしてみれば燃費や環境性を強みとして新たな顧客を掘り出すことができます。お互いがイーブン(平等)な関係で生まれる関係性ですね。
タクシー会社同士が平等な関係で協調と競争が併存する関係性がみられます。アライアンスの特徴としては経営権の独立性を維持しつつ、顧客に広域のサービスの提供と加盟会社へのロイヤルティの向上を図れます。
戦略アライアンスの種類
戦略アライアンスには、様々な種類がありますが、以下に、代表的な戦略アライアンスの種類を説明します。
技術提携
2つ以上の企業が、技術や知識を共有し、共同で新製品の開発や研究開発を行う提携のことです。技術提携は、企業の技術力を結集してイノベーションを生み出すことができます。
販売提携
2つ以上の企業が、商品やサービスの販売を共同で行う提携のことです。販売提携により、相手企業の販売網を借りて自社商品を広めることができ、新たな顧客層の開拓につながります。
製造提携
2つ以上の企業が、製品の製造や生産を共同で行う提携のことです。製造提携により、両社の生産力を結集してコスト削減や生産効率の向上を実現できます。
マーケティング提携
2つ以上の企業が、広告や宣伝などのマーケティング活動を共同で行う提携のことです。マーケティング提携により、相手企業のブランド力やマーケティングノウハウを活用して自社の認知度を高めることができます。
資本提携
2つ以上の企業が、資本関係を持つ提携のことです。資本提携により、両社の資金や資本力を結集して、事業拡大やM&Aなどを行うことができます。
以上が、戦略アライアンスの代表的な種類です。企業が目的に応じて、これらの種類の中から最適な提携形態を選ぶことが重要です。
戦略アライアンスのメリット・デメリット
アライアンスのメリット
- 自社の独立性が保たれる、維持できる
- 企業同士が事業ノウハウや経営素材を補完し合うことで、スピーディーな事業展開が可能
- 業界内での競争力が向上する
- 協力関係を解消することが容易である
- 共同で生産や製造、またはマーケティングを行うことで、コスト削減を実現が可能。
- 相手企業の販売網や顧客層を借りて、新たな顧客層の開拓や地理的な拡大が期待できる。
アライアンスのデメリット
- 自社の顧客情報や技術ノウハウの流出する恐れがある
- アライアンスの効果が確実に見込めるとは限らない
- 企業文化の不一致が原因で提携が失敗することもある。
- 提携解消による、損失が発生する可能性がある
自社の独立性が保てるためアライアンス無いでも競争意識が芽生え、業界自体の活性化に繋がります。自社の弱みを意識し、ノウハウを吸収できる点からみてもメリットは大きいように感じます。
身近な企業のアライアンス例
航空会社間の連合組織である「航空連合」
航空業界における国際的な規制緩和の流れと競争の激化により、世界的な規模で結成されるようになったアライアンス。
世界の航空業界において、3大アライアンスが結成されています。連合内における各航空会社はコードシェア便などによる旅客の誘導のほか、機体や事務所、整備拠点の提携による運航経費の削減も目指しており、非常時の対応などでも提携を結んでいる連合もあります。
スターアライアンス(Star ALLIANCE):エア・カナダ、ユナイテッド航空、シンガポール航空、全日空など。世界初の航空連合会社。
スカイチーム(Sky Team):エールフランス、デルタ航空、チャイナエアライン、世界最大規模の航空会社であるデルタ航空も加盟。
ワンワールド(One World):日本航空、アメリカン航空、ブリティッシュエアウェイズ、カタール航空など。インターネットユーザーが、投票によって賞を与えるワールド・トラベル・アワーズでは、2019年度までの17年連続でベスト航空連合に選出されています。
自社の路線を持っているA社は空席が減るのでコストが下がり、路線を持っていなくても売上げが発生するB社、顧客にとってもサービスを享受できるためいずれもWinWinな関係性が構築できますね。
楽天と日本郵政の業務提携
2020年末、楽天株会社と日本郵便の業務提携が発表されました。楽天市場などのECサイト販売事業と日本郵便の配達ネットワークや郵便局を活用した新たな物流プラットフオーム戦略構想が発表されました。
楽天は発表会見でEC事業の今後の予想として、諸外国並みの20%程度まで成長する見込みを上げています。現在の8%ほどの数字からすると倍以上の伸びが予想され、配達網・物流ネットワークの強靱化は不可欠であると考えています。
アライアンスとM&Aの違い
アライアンスとM&Aは、企業が成長や競争力の向上を目的に、他の企業と提携する手法の一つですが、その手法には大きな違いがあります。
アライアンスは、相手企業と協力して業務を進める提携関係を指します。相手企業との提携により、互いの強みを生かし合い、市場での競争力を高めることを目的とします。アライアンスによる提携は、企業の自律性や独立性を保ちながら、協力することができる点が特徴です。
一方、M&Aは、企業買収や合併などにより、企業を統合する手法を指します。M&Aは、企業の経営戦略の一環として、自社の成長や業界の再編成を目的として行われます。具体的には、競合他社の買収、新規事業の買収、資本提携や業務提携による合併などが挙げられます。M&Aによる統合により、企業がより強い競争力を獲得することができますが、統合により大きな変化が生じるため、企業の自律性や独立性が低下する点が特徴です。
簡単に言えば、アライアンスは企業が協力するための手法であり、M&Aは企業を統合するための手法であると言えます。企業がどちらの手法を選択するかは、企業の経営戦略や目的によって異なります。
つまり、M&Aとは「Mergers and Acquisitions 」の略でアライアンスはあくまで企業同士の関係がイーブンで協調関係にあるのに対し、M&Aは企業の統合・合併や買収を指します。
M&Aは子会社化するなどして経営権が移転してしまうのですね。どのような方法があるのでしょうか?
吸収合併・新設合併
株式買収・資産買収
企業の発行株式を取得し会社化する方法です。その方法として友好的M&Aや敵対的M&Aがあり、TOB・LBO・MBO・MBIなどの代表的な手法があります。
TOB(Take Over Bid):買収側の企業が被買収側企業の株式を株式市場を通さずに直接買い付けるこ方法。
LBO(Leveraged Buy Out): 買収側の企業が被買収側企業の資産や収益力を担保にして、銀行借り入れや社債発行を行い、この資金で買収を行う事。
MBO(Management Buy Out): 子会社などが現在行っている事業の継続を前提として、株式や部門を買い取り経営権を取得すること。
MBI(Manegement Buy In): MBOの一類方であり、買収対象企業の外部マネジメントチームによる買収のこと。
外部マネジメントチームとは同一業界内での経験を持った会社・者や企業再建の経験を有するチームのことです。MBIも事業の存続を前提とした買収になります。
M&Aのメリットデメリット
M&Aのメリット
- 短時間でスピーディーな戦略展開を図ることができる
- 自社の弱みの補完を効率よく行う事ができる
M&Aのデメリット
- 短時間で調査を行わなければいけないことも多く、対象の調査が不十分に終わることもある。
- 人事や労務面の反発があり、組織融合がスムーズに行われない事も多い
自社の弱点・弱みを効率よく補填したり、事業拡大を図るためには大きなメリットがありますが、組織統制をいかに行うかが新たな問題として発生します。
戦略アライアンスの将来性
世界経済のグローバル化に伴い、市場は今後ますます複雑になっていることが予想されます。多様化する市場に対応するために、企業は自社の強みを生かしながら、他の企業と協力することが求められています。このため、戦略アライアンスにより、各企業が互いの強みを生かして、相互補完的な関係を上手に築くことができる企業が優位に立つことでしょう。
また、新興国市場の急速な成長も、戦略アライアンスの将来性を高めています。新興国市場は、成長が著しく、競争も激しいため、リスクの観点からも新規参入企業は困難を極めます。このため、既存の企業同士が協力して新興国市場に進出する場合には、企業は他の企業と共同でリスクを分担しながら、新興国市場に参入する流れがおこります。
さらに、最近では、デジタル技術や人工知能の発展により、ビジネスの形態が大きく変化しています。このような変化に対応するためには、企業は自社だけでは対応できない分野の知識や技術を他の企業から得ることができます。今後企業は、自己完結的な経営から脱却し、戦略アライアンスを活用することにより、新たな成長を目指すことができます。
以上のように、現在のビジネス環境においては、戦略アライアンスがますます重要性を増しています。企業は、自社の強みを生かしながら、他の企業と協力することで、競争力を高め、持続的な成長を実現することが求められています。
まとめ
仕事で耳にするアライアンスという言葉ですが、最近ではゲーム等でも使用されていることもあり、カタカナ英語としてなんとなく使用しているように思います。
大手企業との競争になると資本力に乏しい中小は不利を被りますが、参加する事で競争力を発揮し小さな会社や組織でも顧客情報などを活用出来るメリットがあります。大手が参加するアライアンスではその経営資源やノウハウを習得する機会が発生し、独立性を維持した上で新たなイノベーションのシードの発見と注力を行う事が出来るのです。
今後お仕事の中で「アライアンス」と出てきたときには頭の中で提携と思い浮かべて下さいね
それではみなさま良い社畜ライフを!