
一度は耳にする知っているようで知らない言葉「マーチャンダイジング」。今回はこの言葉をプロ社畜が解説いたします。
マーチャンダイジングとは?
消費者の欲求・要求に適う商品を、適切な数量、適切な価格、適切なタイミング等で提供するための企業活動のことであり、「商品化政策」や「商品制作」と訳されています。

小売業を例に挙げると、商品を消費者へ提供するためには、商品選別・仕入れ・輸送・保管・出荷・陳列・販売の多くのプロセスが必要です。これらを計画・行動・管理する大きな流れがマーチャンダイジングと呼ばれています。
マーチャンダイジングでは、店頭での買い物客を起点として、消費者の立場から品揃えを決定していく考え方を用いています。
①消費者は陳列された商品の中から自身の欲求(欲しいと思ったもの)を購入します。
②バイヤーは消費者が何を望んでいるかをデーターや情報の中から選んで仕入れます。
③仕入れた商品を消費者に購入してもらえるよう、陳列をします。

商品管理は基本的にこのようなサイクル活動になります。仕入れ担当者はより消費者が欲しいと思った商品を選ぶこと、陳列担当者はより購入してもらえるよう陳列と効果的なディスプレイを行います。
サイクル活動を向上させる(売り上げを上げる)為には・・・
- 他店よりも魅力的な品揃えを行う(希少性や品質・種類など幅を持たせる)
- 在庫を切らさない事で売り上げ機会ロスを防止する(奥行きを充実させる)
など行われます

消費者の欲しいものだけを集中的に仕入れようとすればするほど、仕入れ代や倉庫代の資金が必要となってくるため、需要と供給の均衡を適正に必要があります。

マーチャンダイジングの5つの適正


これらの適正を考慮した「商品化制作」を行う事で、消費者ニーズや需要を捉えた戦略を考える事が出来ます。適正な商品を適正に消費者に提供することでプラスの循環が生まれていきます。
様々なマーチャンダイジングの手法
クロスマーチャンダイジング
異なる種類の商品を同じ売り場で陳列し売ることによって、相乗効果による売り上げの増を図る。
テレビとスピーカーや枝豆の横でビールを売る等、当初購入予定のなかったものをついで買させる手法でもあります。
ヴィジュアルマーチャンダイジング
自店のコンセプトを視覚表現を用いて消費者へ訴求する仕組みや手法のこと。
統一したコンセプトや陳列だけでなく、店内のインテリアやコーディネート、カラーリングなどの視覚的陳列に終点を置く。
ライフスタイルマーチャンダイジング
消費者のライフスタイルを中心としたマーチャンダイジング戦略を行うこと。
販売促進のテーマや企業側の提案や主張を取り込んだ横の広がりを魅せる提案を行う事で、従来では埋もれがちであったニッチな商品にもスポットが当たり、相乗効果が期待できる。
商品管理
商品管理とは、売り上げ予算計画の達成と資本均衡を維持するために行う、商品の計画と統制のことを指します。

難しい表現かも知れませんが、売り上げ予算を達成するために、商品の品揃えと仕入れを計画立てることです。これらの計画を財務面から計画を立てていきます。
商品予算計画
商品予算計画とは、マーチャンダイジング活動を財務的な面から推進するための目標を設定することと捉えられます。
予算計画は粗利益に影響を及ぼす要因について金額を設定します。
その要因は
- 売上高予算
- 在庫高予算
- 値入高予算
等があげられ、目標GMROI(商品投下資本粗利益率)等の数値を元に編成されます。

少し難しいかも知れませんが要するに、予定・目標とした粗利益(利益目標)から逆算した事業の計画になります。今回は代表的なROI・GMROIを取り上げてみましょう。
資本利益率(ROI)
ROI(資本利益率)とは、調達・投下した資本に対して、どの程度利益を上げられたかを示す指標です。


この数値が高いほど売上高粗利益率が高く、資本回転も良好であるため、良い経営(商品管理)が行えていると判断できます。
商品投下資本粗利益率(GMROI)
小売り経営においてマーチャンダイジング管理の財務的な側面として、商品投下資本(原価)を基準とした収益性を示し、在庫投資の回収(利益の獲得)を管理するための指標です。


なんのこっちゃと思うかも知れませんが、商品原価で計算をします。在庫回転率に着目し、粗利益を平均在庫(商品の原価)で割ることで表わす数値は、高いほど儲かっているということです。
交差比率
交差比率は商品在庫投資の管理を売価基準で考えるものであり、販売の側面から商品投下資本の効率性を捉える指標です。在庫と商品の効率を見るもので、商品への在庫投資がどれだけの粗利益をあげているかを捉えることが出来ます。


GMROIは原価で計算をし、交差比率は売価で計算をすると考えるとわかりやすいです。
商品回転率
商品回転率とは一定の期間内に商品(在庫)が何回転したかを示すものです。一定の利益が載っている場合は回転させればさせるほど、利益が上がっていきます。


まとめ
今回はマーチャンダイジングを取り上げてみました。
ビジネスの場でも先輩社員などは当たり前のように使用している言葉ですが、中々教えてもらう機会も少ないかと思います。
最近ではマーチャンダイジングを専門に立案する「マーチャンダイザー」のように、職業としても認知される様になってきました。
この仕組みを大まかに理解しておけば応用性も高く、社内の話題やテーマに取り上げられたときにご自身の意見が言えるかも知れませんね。
それではみなさま良い社畜ライフを!



