組織における行動やメンバーの仕事への取り組み方、チームとしての運営や動機付けなど個人をどのように行動へ駆り立てるか?モチベーション理論の基礎にあるマズローの社会的欲求のお話しを、プロ社畜が解説いたします
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モチベーション理論とは?
モチベーション理論とは1950年代より大きな発展をみせはじめ、現代では様々な理論が展開されています。その理論の多くは別々に展開されているわけではなく、他の理論を発展させたり相互関係を保っているものが多くなります。
今日に至る理論のベースとなっているものが有名な「マズローの社会的欲求」です。
その理論を修正させた「アルダファーのERG理論」、発展させたアージリスの成熟=未成熟理論など様々な理論がありますが、組織運営においてこれらの欲求段階を把握することはチームのムードや生産性に直結します。
少し解説してみましょう
マズローの社会的欲求
最も有名なこの理論、耳にされた方も多いように思います
マズローは人間の欲求を5段階に分け、低次欲求から順に満たされていくと唱えました
- 生理的欲求 ・・・ 食物や水など人間の生存に関する欲求
- 安全の欲求 ・・・ 安全であることへの欲求
- 所属と愛の欲求・・・ 社会や集団、組織に適合し、組織内で他者と充足したい欲求
- 尊重の欲求 ・・・ 他者から尊敬されたい、自身が他者よりも優れていると認識したい欲求
- 自己実現の欲求・・・ 自己の向上、自己の潜在的能力などを体現したい欲求
マズローの社会的欲求は一方的な階段状となっており、低次欲求が見たされ高次欲求へと上ったものは低欲求をより満たそうとはしないと唱えています
最終的な高次欲求とは成長欲求とも解され最終的な自己実現の欲求には終わりがないと言えます
ここにある物質的欲求とは食べ物・水・住まい・少しのお金。精神的欲求とは社会的地位や所属への承認欲求、そして十分なお金を持ち合わせることで得られる満足感をいいます。
アルダファーのERG理論
アルダファーはこのマズローの社会的欲求段階を修正し、3つの欲求が同時に存在したり平行したりすることがあると唱えました。
- 基本的な存在の欲求
- 人間関係に関わる関係の欲求
- 人間らしく行きたい成長の欲求
マズローの社会的欲求では低次から高次欲求へ一方通行なのに対し、ERG理論では常に欲求が存在していると唱えいます。成長することへの欲求が満たされなくなるとそのこと自体に関心が薄くなり、またその反対も起こりうるという理論です。
アージリスの成熟=未成熟理論
アージリスはマズローの自己実現の欲求に着目して理論展開を行いました。個人の人格は未成熟の段階から成熟へと向かおうとする欲求によって変化すると唱えています。
アージリスは組織を管理する事は組織構成員へ未成熟な特質を要求することとし、成熟を求める構成員のモチベーションを低下させると唱えました
構成員へ自己実現の欲求を満たし組織の健全化を図るためには構成員の職務拡大、感受性訓練を行う必要があると唱えています
職務拡大
職務に対して単調感などを与えてしまいモチベーションを下げてしまわないように、職務の幅を広げ構成員のやりがいを満たす方法です
感受性訓練
集団や組織形成のメカニズムや集団機能の本質などの理解を深めるために、あえて孤独な場面を作り出し、集団への参加欲求を目覚めさせる動機付けの訓練でもあります
マグレガーのX理論・Y理論
人間観に関するモチベーション理論であり性善説・性悪説に近い概念。個人の目標精度を主体的に設定し、自己統制により目的管理する事と権限委譲と職務拡大によって、仕事への意欲を高めていく理論の事です
ハーズバーグの動機付け・衛生理論
ハーズバーグはマグレガーの唱えた理論では高次欲求(仕事の意欲を高めていく)を満たすためには、動機付けが必要であると唱え研究しました。この研究によって仕事へ対し満足をもたらす要因と仕事へ対し不満をもたらす要因の違いが発見されました
仕事へ対し満足をもたらす要因 =動機付けの要因
- 仕事への達成感
- 仕事の承認
- 仕事そのもの
- 仕事への責任
- 昇進
仕事へ対し不満をもたらす要因=衛生要因(不満の種になり得る要因)
- 会社の方針
- 上司の監督業
- 給与
- 人間関係
- 労働条件
- 作業環境
ハーズバーグは高次欲求を満たすためには動機付け欲求を積極的に改善していく必要があると唱えています。仕事の計画・準備・統制・責任や権限の範囲の拡大を充実させ仕事(職務)の質的・垂直的拡大を行うことが動機付けになるとのことです
仕事の計画・準備・統制・責任や権限の範囲の拡大 =仕事の幅
仕事(職務)の質的・垂直的拡大=仕事の奥行
仕事でのモチベーションを向上させるためにはこの仕事の幅と奥行きを拡大させることです
まとめ
今回は現代のモチベーション理論である5つの理論をご紹介いたしました。いずれの理論もマズローの社会的欲求が基礎となり、社会的な欲求を経て自己実現を目標とする社会的な欲求思想を持ち合わせているものだと思います
これはアリストテレスが唱えた「人間はポリス的(社会的)な動物である」に通ずるものがあり、今自身の置かれている環境とこれらの理論を掛け合わせるで俯瞰的な立場から自身が置かれている組織・社会でのポジションを冷静に見つめることができるのではないでしょうか?
これらの理論をより実践的・具体的に持ちいることを今後ブログ記事としてあげていきます。